この本は、宮古島で生まれた子どもたちを、昭和59年から平成12年まで、
17年もの長い間、調査、研究を続けられた先生方の著書です。
調査が行われたモデル地区では、そしゃく器官が健全に発達するための歯科保健活動が行われました。その結果、むし歯や歯肉炎が減ったのはもちろんのこと、歯並びについても、90%近くあったディスクレパンシー型(顎が小さく歯が並びきらない)の不正咬合が30%以下に減少し、10%だけだった正常咬合は50%を超えたのです。
この本の終章に「新しい時代の歯科保健」として、坂下玲子先生がこのように書いてみえます。
「口の健康を得るにはどうすればよいかその方策はこの活動を通じてわかりました。できるだけ母乳か、それが難しいときはそしゃく型乳首を使うこと、離乳期に食べられる物の範囲を広げていくこと、間食やカロリーのある飲み物を控え、繊維質にとんだ食事を摂ること、この食生活を守るだけです。これだけで歯科疾患のリスクが大幅に減少し、あごが十分に発育し、疾患にもかかりにくく、何でも食べられる口が手に入るのです。」
大変僭越ながら、
保健所・保健センターで歯科保健業務に携わってみえる方は、
この本、読むべきと思います。
地域の大多数の子どもたちが受ける乳幼児健診の場で、何を伝えるべきか…
子どもたちができるだけ医療を受けないで済むように
対策するのが、保健所・保健センターの役目ではないでしょうか。
昭和から平成にかけて、子どもたちの未来のために続けられた研究の成果を、
令和の時代を健康に生き抜くための指針とするべき、と私は思います。
この調査研究を経て、一般の方向けに育児書として発行されたのが、
「食べて遊んで育って」です!
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